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玄関とアイデンティティー

  • 執筆者の写真: S.Ninomiya
    S.Ninomiya
  • 2015年1月5日
  • 読了時間: 2分

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明治以降始まった近代の建築教育は、西洋のそれを手本として進められている。住宅もその例外ではない。 襖で分割したり拡大したりするフレキシブルな間取りの自由性は尊重され継続されているが、LDKという西洋の単位で表現される間取りや、ダイ二ングテーブルとダイニングチェアで食事をとり、ソファで寛ぎ、ベッドで就寝するというスタイルがかなりの割合で浸透している。

これらは、日本人の生活スタイルや体格、食生活や娯楽の変化などに密接に関係していて、建築教育の影響だけがその原因ではない。 しかし、「靴を脱ぐ」という行為は今だ引き継がれている。

西洋のそれを手本とした住宅のプランは教科書などでいくらでも学ぶ事はできるが、そのプランは「玄関」という概念が希薄なプランが殆ど。いわゆる「玄関」的なポジションに位置する扉はあるのだが、その扉はリビングと直結しており、日本の住宅のように外部と内部の中間領域となる「玄関」は無い。

「靴を脱ぐ」という行為が無いから、そのようなスペースが無いのは当たり前なのだ。 「靴を脱ぐ」という行為は、日本だけではなくアジア諸国では多く見受けられる行為だが、日本のそれは、外部と内部の中間領域としての位置付けにおいて、「玄関」というのは何か特別な存在であるように思う。 実際、設計の実務においても、無意識のうちに「玄関」に対しての思いが重いお施主さんは多い。「玄関」は日本人のアイデンティティーそのものなのかもしれない。 「玄関」にはそういう背景がある事を心得て設計したいと思っている。

 
 
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