新国立競技場のコストがバカ高いと社会問題になっていますね。なんだかんだで2500〜3000億円とは確かにバカ高い。
この要因は良く分かりませんが、一つには相見積もりによる見積りをしていない事が挙げられるでしょう。
驚くべき事ですが、新国立競技場は様々な理由から相見積もりを行っていません。工法や工期がリスキーな今回の工事、請け負ってくれる施工者がいなくて、特命により施工者を決定したそうです。これだと高くなるのは当たり前。
なぜなら、施工者の言い値だから。
施工者は赤字になりたくは無いので、必要と思われるコストよりも高めのコストで話を通そうと保険をかけます。だから、どうしても高め高めになるのですよね、コストが。
相見積もりとは、同じ設計内容でどれくらいのコストで建てられるのか、複数の施工者に競争で見積りを行ってもらう方式の事で、競争入札とも言われます。
つまり、競争原理を働かせる事でコストの圧縮を図るわけです。これを新国立競技場ではやっていない、バカ高くなるのは当たり前。新国立競技場がバカ高いのには、こういう背景があるわけです。
これは、住宅でも同じ事が言えます。
一見、他者との比較が可能なようなハウスメーカーでも、全く同じ建物の内容で比較しているわけではありません。全く違う計画に対してのそれぞれの見積もり。だから、いわゆる相見積もりの状態とは違います。あくまでもハウスメーカーの言い値。
最近流行りの建築プロデュース会社も、施工する工務店が決まっている場合はハウスメーカーと同様です。結局はその工務店の言い値で工事費が決定します。
いずれのケースも相見積もりとは無縁。値切られても所謂「乗せ引き」、安全圏の中での値引きしかしないので施工者からすれば有難いシステムなわけです。
値切ったつもりでも、実際は十分な利益があるわけです。これでは建築コストが抑えられるわけはありません。
新国立競技場のバカ高い建築コストはけっして他人ごとではないのです。