以下、日経アーキテクチャからの転載
山梨「大型建築を長くつくっていると分かることですが、設計時には機能やコストの話、あるいはビジネスになるかということばかり言われるのに、出来上がったときに機能やビジネスやコストのことでは誰もほめてくれない(笑)。完成後は、新しい社会的な意義があるときだけ第三者からほめてもらえるんです。だから、新しい社会的な意義はクライアントにとっても損ではないんですね。」
ふむふむ、確かにそうなんですよね。山梨氏は「大型建築」と前置きしていますが、住宅でも同じだと思います。
設計中は機能やコストが最大の関心事項として計画が練られていくのですが、竣工してしまうとそういう事はほとんど忘れ去られて、デザインを主題とした全体での評価になっていく。
勿論、設計中もデザインは大きな関心ごとではあるのだけれど、機能やコストが優先で後回しにされる。
後回しにされるのだけれど、前出のように結局はその大枠の意味でのデザインが評価の対象になっていくので、機能やコストを検討する過程でも、脳内では同時進行的にデザインの事も意識しながら検討を進めるわけです。
でも、あまりデザインを前面に出して説得しようとすると「二宮さんて機能やコストのことよりもデザイン優先ねんですね」と、不本意な誤解を生む危険性があるのであまり前面に出す事も出来ない。
そのさじ加減が実に難しい。。。。
西沢立衛氏設計の「豊島美術館」