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観光資源としての建築

  • 執筆者の写真: S.Ninomiya
    S.Ninomiya
  • 2015年12月9日
  • 読了時間: 3分

皆さんが旅をされる目的はなんですか?グルメやショッピング、雄大な自然や美術品の鑑賞など、目的は様々かもしれません。しかし、無意識のうちに建築を観ていませんか?

例えばパリを訪れると、きっとエッフェル塔や凱旋門を訪れるでしょう。シドニーではオペラハウス、ニューヨークではエンパアステートビル、カイロではピラミッドを訪れるはずです。

勿論、僕のように建築の仕事に携わっている人が建築を訪れるのは当然ですが、そうでない方も実際は建築を訪れているのではないでしょうか。

つまり、建築は立派な観光資源なのです。

スペイン北部バスク地方にビルバオという小さな街があります。人口は約35万人でスペイン第10位。元々は鉄鉱石の輸出に始まり、近年では工業で栄えた街なのですが、それらも廃れてしまいジリ貧の状況に陥っていました。

そんなビルバオを救ったのが、建築家フランク・O・ゲーリーの設計したビルバオ・グッゲンハイム美術館です。


フランク・O・ゲーリーの設計した「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」

この美術館は非常に特徴的な形態をしていて、一言で言えば奇抜、破茶滅茶。一見、このビルバオといういかにもヨーロッパの風情溢れる地方都市には不似合いな造形をしています。



しかし、世界中からこの建築観たさに人々が集まるようになり、ビルバオの街は一気に息を吹き返しました。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館を実際に観ると、奇抜な造形ではありますが、不思議と街に馴染んでいるし、周辺も良く整備され、街の人達の憩いの場として活用されている様子が伺えます。


そこには独りよがりな建築家の暴走という印象はありません。

建築が観光資源となり街の活性化に寄与した代表的な例だと思います。

建築を観るために世界中から人々が集まるという事は、交通や宿泊施設、飲食店や物販などの需要が高まり、著しい経済効果をもたらします。現在日本中でブームのマラソンなどもその良い例でしょう。



ところで、僕の住む大阪にそんな建築があるでしょうか…大阪城?通天閣?梅田スカイビル?…どれもたぶん「ついで」に訪れる建築です。

中之島公会堂や綿業会館、建築家ヴォーリスの設計した建築群も建築的、歴史的にはそれぞれ意味もあり重要なものですが、西洋の近代建築を持ち込んだに過ぎず、本場の人達がわざわざ足を運ぶような建築であるかは疑問です。

大阪にもビルバオ・グッゲンハイム美術館のように、わざわざそれ見たさに世界中から人々が足を運ぶ建築が一つくらいあっても良いのではないでしょうか。そして願わくば、僕もそんな建築づくりに関わりたいもんです。

 
 
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