2016年1月11日「地球に落ちてきた男」ことデビッド・ボウイが死去した、69歳。ガンだったそうだ。1月8日に誕生日を迎え、その日に(結果的に遺作となった)新譜をリリースしたばかり。
遺作となった「★(Black star)」
ボウイについては僕と同世代か上の世代の方で洋楽を聴かれる方なら絶対にご存じだろう。キャリアについては詳しく触れないが、正真正銘のカリスマだった。
ショービジネス、とりわけロックミュージックの世界ではカリスマと言われる人たちは多い。共通しているのが短命であるという事。
例えば、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスは21歳没。ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ローリング。ストーンズのブライアン・ジョーンズ、ドアーズのジム・モリスンは揃って27歳没、ジョン・レノンはやや長生きで40歳没だが、それでも一般社会の平均寿命からすると早い。他にも早死にしたカリスマ達は枚挙にいとまがない。
カリスマだから早死にするのか、早死にするからカリスマなのか、真意の程は分からない。
しかし、カリスマで有り続ける事は並大抵の事では無いはずなので、早死にした方がカリスマになり易いのかもしれない。なぜなら、長生きするすればするほど過程でカリスマ性が失われ、ただの人になってしまう可能性を含んでいるからだ。
そんな中で、生涯カリスマとして69年もの人生をまっとうしたボウイこそは、正真正銘のカリスマだったのだと思う。
そもそも、作品ごとにスタイルを変えるボウイは、カリスマの寿命を良く心得ていたのだと思う。それはショービジネスにおける「飽き易い」という大衆倫理を理解していたかだと思われるが、やはり根底にはその変容を可能にする才能と資質に恵まれていたからにほかならない。
ファッションやメイクなどのビジュアル面、実験的な音楽性に注目の行きやすいボウイだが、ミュージシャンとしての確かな歌唱力が下支えになっている点も忘れてはならない。つまり、見てくれや話題性だけではなく、ちゃんと実力があるのだ。
だから69歳になるまで第一線で活躍しカリスマである事ができたのは、ボウイが正真正銘のカリスマだったからに他ならない。もし、そうでなければ本当に「地球に落ちてきた男」だったのだろう。
音楽と建築というジャンルの違いこそあれ、常に新しい事に挑戦し続ける姿勢はモノづくりに関わる人間としてとても尊敬できる人でした。ご冥福をお祈りします。