ル・コルビュジェ設計による国立西洋美術館が世界遺産に登録された事を記念して、今回のBLOGもコルビュジェネタです。
前回のBLOGでも書きましたが、コルビュジェといえば数々の大風呂敷を広げるキングダムタイプの建築家の代表格ですが、その大風呂敷の一つに「モデュロール」というものがあります。
「モデュロール」とは何かというと、解説によると「コルビュジェが研究していた尺度システムの名前で、人体寸法を黄金分割とフィボナッチ数列を用いて算出したものです」…と、なんだか難しそうな話なのですが、要は建築の様々な寸法を人体のサイズを元に割り出し、これを建築に利用する事で普遍的な美を求めようとしましたものです。
この「モデュロール」は非常にキャッチーな図案で表現されているので、ひょっとしたらご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
コルビュジェによる「モデュロール」の図案
僕の勝手な推測ですが、多分コルビュジェはレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」を強く意識していたのではないでしょうか。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」
「モデュロール」は「人間的尺度」とも言い換えられていて、建築を学ぶ学生なら必ず何某らの過程で見聞きする用語。因みに僕は大学の入試問題で初めてこの「人間的尺度」という言葉に直面しました。
ところでこの「モデュロール」、実は大きな落とし穴があります。
それは「モデュロール」を設定するにあたってコルビュジェが想定していたベースとなる人体の身長が、なんと182.9センチという事。コルビュジェ自身が背の高い人だったのでこの数字が基本となったのでしょうが、それにしてもデカい。
この「モデュロール」を真に受けて寸法設定をしてしまうと、平均身長が172センチ程度(男子)の日本人には完全にオーバースケール。とんでもない事になってしまいます。
でも、学校ではこの「モデュロール」は教えても、182.9センチの事はあまり教えていないのですよね…学生の皆さんはくれぐれもご注意を。