今年の夏、建築視察でパリを訪れた際に、何人かの日本人の建築学科の学生さんと出会い、話す機会がありました。
一人は交換留学で一年ほどパリで建築を勉強しているという学生さん。他は、修士論文を書くために数週間滞在しパリの都市計画を調査しているという学生さんのチーム。
日本から遠く離れたこの地で、わざわざ建築を学ぶ為に海を渡る学生さんが沢山いる現実をみて、まだまだ日本の建築業界も捨てたものじゃないなと嬉しく思いました。
ところで、話は変わりますが過日はU-35という企画展を観てきました。
「U-35」展覧会場入り口。
「これからの活躍が期待される若手建築家に発表の機会を与える」という趣旨の企画展で、出展者の条件は35歳以下である事。
35歳という年齢設定は実に絶妙だと思いました。。
なぜなら、建築家を志す人にとって35歳という年齢は幾つかある分岐点でも、もっとも大きな年齢だと思うから。
建築家を志すタイミングは人それぞれだと思いますが、殆どの人が大学なり専門学校なりで勉強し、社会に出て実務を学ぶ流れだと思います。
社会に出て実務を学び出すと、学生時代に勉強してきた「建築」は役に立たず、経済の中の一部としての「建築」に直面する。
更に、社会人として「生活」という日常に追い回され、学生時代に抱いていた「建築」や「建築家」への志は鳴りを潜め、違う選択肢を選びだすタイミング…。
それが35歳という年齢。
「U-35」展示会場の風景。
そういう人生における様々な分岐点を経て、今尚建築家としての道を歩もうとする人達の意思表明がこのU-35には込められているように思いました。
そしていつか、パリで出会った学生さん達の作品がこのU-35で拝見出来たらよいな…と思ったのでした。
この「U-35」こと「Under 35 Architects exhibition 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会2016」は、10月30日まで大阪駅前・うめきたシップホールにて開催しています。
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