今回のBLOGは興味ある人は大変興味があり、全く興味が無い人には全く興味の無い映画「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」をデザインの観点から考察した話題。ネタバレは無しなので、これから観る予定の方でも安心してお読み頂けます。
主役のジン・アーソを演じるフェリシティ・ジョーンズ・・・誰これ?
ご存知の方はご存じだと思いますが「ローグ・ワン」はこれまでのスター・ウォーズシリーズ(公開された年代順で)4・5・6・1・2・3・7の3と4の間、つまり3.5といったポジションを描いた映画。いわゆるスピンオフという位置づけ。
1~6まではジョージルーカスの手による作品でしたが、7以降、この「ローグ・ワン」も含めてジョージルーカスの手を離れ、ディズニー作品となっています。オールドファンからすると、ディズニー作品となってからのスターウォーズには賛否両論あるところですが、僕的にはディズニーサイドのスターウォーズ愛に満ちた人達が制作に携わっているであろう事を信じて、一応「アリ」というスタンス。
ところで、実はルーカス作品であるにも関わらず、僕は1・2・3にはあまり魅力を感じていません。それは、スター・ウォーズの魅力の一つであるメカデザインがあまりにも魅力的では無いから。
初めてスター・ウォーズを観た10代の時、なによりも心を奪われたのはXウイングファイターやタイ・ファイター、ミレニアム・ファルコンやライトセーバーなどのメカデザインなのでありました。因みにフォースは全く理解不能なのでありました。
その後5・6とシリーズが進んでも、ATATスノー・ウォーカーやチキン・ウォーカー、スピーダー・バイクなど益々メカデザインの魅力は増すばかりで、完全に虜になってしまいました。当時は今のように情報が無いし、映像や雑誌などで断片的に見られるメカデザインの情報を食い入るように漁っていました。
全編通してのアイコン的メカデザイン、スター・デストロイヤー。
しかし1・2・3となると、その魅力は一気にダウンしてしまいます。
ルーカスはメカデザインの変化に関して「1・2・3は平和な時代であり、平和な時代はデザインも流麗で上品、洗練されたものが生まれ好まれるが、4・5・6のように戦争が始まるとそういう美意識は置き去りにされ、機能優先の即物的なデザインになる」と述べています。
確かに1の頃は流線型でツルピカリンな宇宙船が多く登場し、3に向かう程機能主義の即物的なデザインへと変化していきます。また、1では洗車したばかりか?というような綺麗な宇宙船ばかりなのですが、3になると薄汚れた宇宙船となり、4への橋渡しをしている事が理解できます。
それにルーカスが言うように、確かに4・5・6のメカデザインは第二次世界大戦中のドイツ軍の兵器を彷彿とさせる即物的でぶっきら棒なデザインで決して流麗で上品なデザインではありません。但し、なぜかとても魅力的。
ルーカスの言う変化の理由は納得できますが、1・2・3のメカデザインは全く魅力的では無い。流麗で上品なデザインでも「スタートレック」のエンタープライズ号のように魅力的で虜になってしまうようなデザインは沢山あるわけで、単にメカデザインが下手だったのだと思います。
・・・・・で、今回の「ローグ・ワン」。
今回は一切の前情報を入れずに鑑賞スタート。主役をはじめ、メインで活躍する登場人物は全く知らない人達ばかり。おまけに序盤は近未来を描いた普通の戦争映画のようでまったく入っていけない。おまけに隣の席のオジサンはずーっと紙をクシュクシュ弄ってるし、なかなか映画に集中できない・・・どうしよう。
これはスター・ウォーズじゃないぞ・・・と持っていた矢先、ストーム・トルーパーやチキン・ウォーカー、アノ人やコノ人など、お馴染みのキャラクターやメカが次々と現れ、一気にスター・ウォーズの世界に突入!すっかり慣れ親しんだあのスター・ウォーズの世界観の中にどっぷりと浸かる事ができたのです。
「7」でリデザインされたストーム・トルーパーも格好良いですが、やっぱりストーム・トルーパーといえばこっち。
中国人俳優ドニー・イェン演じる盲目の戦士チアルート・イムウェ。「座頭市」っぽいけどスター・ウォーズ離れした殺陣をみせてくれます。
大好きなATATも登場。今回は雪上ではなく南洋のジャングルを闊歩。
これぞデザインの力。デザインの持つ魅力は時代を超え、世代を超え、宇宙をも一つの世界観にまとめ上げ、僕を39年前の少年に連れ戻してくれたのです。
最後に一つだけネタバレすると、ヴェイダー卿はシリーズ中最も怖いヴェイダー卿でありました。
このお姿になってからは動きの遅かったヴェイダー卿ですが、ローグ・ワンではちょっと違います。