よく「壁が薄いから隣の部屋の音が良く聞こえる」といった表現を耳にするけど、あれって本当なのだろうか?
住宅に限らず、ホテルやオフィスビルなどでも躯体(構造体)ではな壁の場合、角材やLGS(ライトゲージスチール)などで骨子を作り、その表面に石膏ボードを貼り下地とし、さらにその上からクロスなどを貼って仕上げるという工法が一般的。
これらは作業効率を上げるだけでなく、建築物そのものの重量を軽くすることにも役立っていて、結果的に経済性の向上にも繋がっている。また、間仕切壁を躯体で作らないということは将来的な間取りの変更も容易になる。
さて本題。壁が薄いから音が伝わりやすいのか?...結論を言うとこれは間違い。
そもそも音は何かというと空気の振動だ。空気が振動することで音は伝わる。音を伝わりにくくするには空気の振動を止めればよい。ということは、壁を重い材料で構成すれば音は遮断されるわけで、壁の厚さは関係ない。
例えば、前述の一般的な間仕切壁の場合どんなに薄く仕上げても40mmほどの厚さになるが、10ミリほどの鉄板一枚だけで間仕切り壁を作って比べた場合、空気の振動が伝わりにくいのは後者の方。40mmよりも薄い10mmの壁の方が遮音性が高くなる。
つまり、音の伝わりやすさは壁の厚みではなく、壁の重さが関係しているのです。
という事は、全ての間仕切壁を鉄板やコンクリートでつくってしまえばよいのだけど、それだと音の伝達は防げても、作業性や経済性、将来的なフレキシブルな対応がし難くなるなどのデメリットも多い。
前述の一般的な間仕切壁の場合でも、中にロックウールなどの遮音材を充填するなどの方法である程度は軽減する事ができるのだけど、壁の中に給水管や空調の冷媒管やドレンなどが通っている場合、結露の問題があるので注意が必要です。